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発行者の阿ノ音(あのおと)です。
少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。

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 *螺 旋 階 段*
 
 
  2、夏 の 冷 蔵 庫


草木が、両脇から生い茂り車のボディーを擦り付け、前方は道なのか道でない
のかよく分からなかった。それでも父は車を一定の速度で走らせハンドルを機
敏に動かした。
僕は「大丈夫なの」と大きな声で言った。
父親は運転に集中していて聞こえなかったのか、話す暇がないのかよく分から
なかったが、何も話さなかった。
草木は進めば進むほど生い茂り、車は上下に激しく振動し、ボディーは不快な
音を醸し出していた。
僕は、目を瞑り全身に力をいれた。
そのうち、父親は「これ以上いけないな。」と呟き車を停めた。

僕は、目を開けると、辺りは暗かった。
前方は、大きな木が道をふさぎ、辺りは木々が鬱蒼と茂り、森の中へ迷い込ん
でしまったのかと思えた。
父親は、「もうすぐ爺さんが来るだろう」と言った。
僕は、山の中の何処から爺さんが来るのか分からなかった。周りを見渡したが、
道らしきものがなく、木がそびえたっているだけだった。
「何処から爺さんが来るの。」僕は聞いた。
父親は、「ここの山中の何処かからだ。」と答えた。
ぼくが、父親を見据えていると、
「そんな、不思議そうな顔をするな。爺さんにとってここは庭みたいなものだ
から何処から来てもおかしくない。父さんも爺さんと会うのは、爺さんの家を
でてからこれで三回目だからな。」
と言い前方を見据え微笑んだ。




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今回はこれで終わりです。
次号へと続きます。
続きを楽しみたいと思っていただけると嬉しいです。












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