メルマガサンプル
発行者の阿ノ音(あのおと)です。 少しでも楽しんでもらえたら嬉しいです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 *螺 旋 階 段* 2、夏 の 冷 蔵 庫
草木が、両脇から生い茂り車のボディーを擦り付け、前方は道なのか道でない のかよく分からなかった。それでも父は車を一定の速度で走らせハンドルを機 敏に動かした。 僕は「大丈夫なの」と大きな声で言った。 父親は運転に集中していて聞こえなかったのか、話す暇がないのかよく分から なかったが、何も話さなかった。 草木は進めば進むほど生い茂り、車は上下に激しく振動し、ボディーは不快な 音を醸し出していた。 僕は、目を瞑り全身に力をいれた。 そのうち、父親は「これ以上いけないな。」と呟き車を停めた。
僕は、目を開けると、辺りは暗かった。 前方は、大きな木が道をふさぎ、辺りは木々が鬱蒼と茂り、森の中へ迷い込ん でしまったのかと思えた。 父親は、「もうすぐ爺さんが来るだろう」と言った。 僕は、山の中の何処から爺さんが来るのか分からなかった。周りを見渡したが、 道らしきものがなく、木がそびえたっているだけだった。 「何処から爺さんが来るの。」僕は聞いた。 父親は、「ここの山中の何処かからだ。」と答えた。 ぼくが、父親を見据えていると、 「そんな、不思議そうな顔をするな。爺さんにとってここは庭みたいなものだ から何処から来てもおかしくない。父さんも爺さんと会うのは、爺さんの家を でてからこれで三回目だからな。」 と言い前方を見据え微笑んだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今回はこれで終わりです。 次号へと続きます。 続きを楽しみたいと思っていただけると嬉しいです。
|