2003.12.27



(頑張るのかい)



「君、まだ鉢巻なんか巻いているのかい。」

「言っただろう、何事にも動ぜずわが道を行くって。」

「そうだが、君の事だから鉢巻なんて巻いていないと思ったよ。」

「僕は、言ったことは必ず実行するんだ。」

「へー、そうなのかい、でも、いつまで続くのかな。」

「飽きるまでさ、鉢巻って意外と効果があるんだよ。君もやってみたらいい。」

「おいらは遠慮しておくよ。」

「何でだい。」

「おいらは、そんなものに頼りたくないし、頼っても仕方がないと思うんだ。そんなのは、ただの暗示効果だけだろう。」

「暗示効果だってなんだっていいじゃあないのかい。これがあれば頑張ることが出来るんだ。」

「じゃあ、もし、鉢巻がなかったとしたら君は頑張ることが出来ないのじゃあないかい。」

「いや、頑張ることは出来るさ。」

「それじゃあ、鉢巻はいらないのじゃああないかい。」

「うーん。いつもは頑張っているのだけどそれ以上に頑張る事が出来るのさ。」

「君は、頑張る、頑張ると言っているけど、何をそんなに頑張るのだい。」

「色々なことさ。普段運動をしていない運動をしたり、睡眠時間を削って読書をしたり。」

「ふーん、そうなのかい。頑張るっていうことは、普段やっていない事をやるから頑張るって言うんだね。そうすると、どれだけ運
動をしたって体を壊すだけだよ。おいらは、頑張ることは、悪いことだと思わないよ。でもね、頑張るって言葉はあまり好きじゃあ
ないな。」

「なんでだい。普段やっていないことをやるから意義があるんだと思うよ。」

「だいたい、頑張るっていうのは言葉だけなんだ。本当に頑張っているとき君は言葉で頑張っていると言うのかい。例えば、君
がジョギングをしているとき、頑張っていると思って走っているのかな。走っている最中は思わないだろう。だいたい、頑張るっ
ていうのは走る前や、人が走っているのを応援するときに頑張れと言うのだ。」

「そんなことはないよ、走っている最中に、もう少し走れるだろうもう少し頑張ればゴールに辿り着ける。と思うもの」。

「それは、走っていることに対して頑張っているとは言っていない。走るのをやめた時の事を考えて言っているんだ。」

「でも、頑張るって走っている最中に思っているだろう。」

「うーん。確かにそうだな。」

「そうだろう。頑張るっていう事は、何かの代償を求めるから頑張ると言うんだ。走った後の爽やかさ、達成感を求めているんだ
よ。」

「そうだな。だから、おいらは、頑張るっていう言葉があまり好きじゃあないんだ。何かの為にやるということは、結局、自分の為
にやるということだろう。それならば、頑張る必要はないんだ。結局は自分の為だもの。だから、おいらは、ジョギングが好きだ
から走る。頑張って走ってなどいない。だから、おいらは、頑張らなければいけないなと思ったら、走るのをやめるね。」

「自分の為ばかりじゃあないさ、誰かの為に頑張らなければいけない事ってあるだろう。子供の為に頑張るとか、愛する人の為
に頑張るとか。」

「それも、自分の為なんだ。愛する人の為にやるという事は愛する人が喜ぶ顔をみたい自分がいるからなんだ。」

「うーん。じゃあ、愛されている人は愛する人の為に愛されているという事になるのかな。」

「そうかもしれないね。」

「なんか嫌だな。全てが、自己中心に回っているようで。」

「それは、どうなのかな。」

「僕は、自己中心の人間なんかになりたくないね。」

「じゃあ、どうすればいいのだい。」

「とりあえずは、鉢巻を外すよ。」

「なんでだい。」

「今は、頑張りたくないからさ。そんな事考えたくない。早く、暖かい部屋に戻ってくつろぎたいからね。」

「走って帰るのかい?」

「そうさ。」

「頑張って早く帰って部屋で寛ぐといいよ。」

「頑張って早く帰ったって仕方がないだろう。早く帰りたいから帰るんだ。」

「君には負けるよ。」




今年も、あとわずか。
少しだけ。
片手の指で数えられるようになりました。
来年が押し寄せてきています。
来年に負けないように今年を乗りきりたいですね。

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