「蛙が、タバコを食べるのですか」 僕は、思わず聞いてしまったんだ。だって、蛙がタバコを食べるなんて聞いた事もない。もし、食べたとしても、火がついている 物は食べないだろう。火傷してしまうよ。それに、蛙は、両生類だろ、水がないと生きられないんだ.。火と水っていったら、正反 対の関係にあるじゃあないか。 「そうだ」 男は、それだけ、言っただけだよ、何か、もっと、付け加えてもいいのにと思うんだけどね。 当たり前のように、言ったんだ。僕は男に、もっと、別な話を期待していたのに。 「ギコ、ギコ」 蛙は、鳴いたんだ。タバコを食べてしまったんだろう。なんか、満足そうな顔をしていたよ。 男は、蛙の頭を撫でたんだ。 すると、蛙は、気持ちよさそうに、目を閉じているんだ。 「この蛙は、君を探して、選んだんだよ、この蛙は、他の蛙と少し違う。何が違うかっていうのは、君が見たとおりだ。タバコが好 物で、体が白い。君は、突然変異かなんかで蛙がそうなったと思っているようだが」 男は、そこまで言うと咳払いををした。 咳払いをすると、黒くて見えない顔が赤くなったような気がしたんだ。 「おっと、失礼」 男は、そう言うとまた話しはじめた。 「この蛙は、洞窟から生まれた。世界中に無数の蛙の種類があるけれど、この蛙は、その種類の中の頂点なんだ。」 「頂点?」 僕は、聞き返したんだ。でも、男は僕の声が聞こえなかったかのように話すんだ。 「だから、普通の蛙より、大きいし、色々な能力を持っている。例えば、君が見た、火の着いたタバコを食べる。それに、人の言 っている事が分かる。それに、これは、大事な事なんだが、人を使う」 男は、そう言うと、タバコを取り出し、ジッポで火を点けタバコを蛙の目の前に持っていった。 蛙は、瞑っていた目を見開いた。 タバコは、無くなっていた。 また、蛙は、目を瞑った。 「何か、質問は?」 男は言った。 「いえ、ありません」 僕は、言った。 なんだか、変な話で、何を質問していいのか分からなかったんだ。 「じゃあ、君には、地下に行ってもらおう、この蛙が選んで、そうするようにしたんだ」 男は、そう言うと、手を二回叩いた。 叩いた、音は、部屋の中に反響した。すると、蛙が鳴いたんだ、「ギコギコ」ってね。 扉が開く音がしたんだ。すると、さっきの老人が扉から、顔をだしたんだ。 「お話は、終わりになりましたか」 老人が、澄ました声で言った。 「成立だ。さて、この、お坊ちゃまを、案内してくれ」 「かしこまりました」 「あの、ちょっと待って、僕は、帰っていいんでしょうか」 僕が、聞くと、二人とも、僕の言った事は無視したように 「さあ、お連れします。こちらへどうぞ」 「ああ、頼んだ」 と言ったんだ。
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